サウナの話…

スウェーデン情報

By:スウェーデン在住 大瀧昌之

日本も、もうすぐ夏ですね…

何年か前の話ですが、日本で猛暑が続いていたある時期に、『猛暑なのに、暑いサウナに殺到!』というテレビニュースがANNのニュースチャンネルで放映されていました。

なんでも、『外でかく汗は「かいちゃう汗」だけど、サウナの汗は「かきたくてかく汗」だから気持ちがいい』だとか…

日本でもサウナがこんなに評価されているのかと少し驚きましたが…

やはりサウナというと、一般的には「フィンランドやスウェーデンなどの北欧…」と考える人が多いかもしれません。

でも、サウナは、やっぱりフィンランドです。

スウェーデンにも、もちろんサウナはあるけど、フィンランドには、どうしても敵いません。

フィンランドでは、「サウナで生まれて、サウナで死ぬ」って言葉もあるくらいですから…。

昔から…、
フィンランドでは、家を建てる時には、まずサウナから作り始めたそうです。
まずサウナを作って…それから居間なんかを作っていく…ってやつですね。

昔は…、動物なんか飼っていたとしたら、サウナで飼って、人間も一緒に住む…なんてこともあったそうです。

「サウナで生まれて、育って…大きくなって、サウナで生きて…そして、サウナで亡くなる」
…なんてことも聞きました。

サウナで亡くなるって…
まぁ、大きな声では言えないですけど…

フィンランド人は…飲むんですよね…それも、強いウオッカの…「コスケンコルバ」っていうやつ…
だけど…、「高温・高湿に強いアルコール…」これ、やっぱり危ないですよね…

それはそうとして…
とにかく、フィンランドには「家があるとサウナがある」って言われるくらいですから、やっぱりサウナの国です。

一軒家だったらもちろんサウナはありますけど、建て並んでいる住宅には共同のサウナがあるし、アパート建てだったら、地下に共同のサウナとか…
とにかく、誰でもみんな、サウナを使うってわけです。

そして、サウナの命っていうのは、何といっても…この焼き石です。
(フィンランド的には…)

この石を、薪を燃やしたストーブとか電気で温めて、熱くなった石に水をかけると…
グワ〜っと熱い蒸気がサウナ室に充満して…

その瞬間肌が焼けるように感じるけど、その熱さが和ぐと…暑さをグーッと我慢して…なんて…
これが、また良いんですよね〜。

極め付きは、熱くなった体を、外で冷やすってやつです。
もう…身体中の血管がピリピリして…
身体中の気が抜ける…みたいな感じがします。

フィンランドは湖も多いし、冬だったら、それこそ雪の中を転がったり…。

ところで…
その国でみんなが話すことの話題って…いろいろ違うと思いますけど…

例えば、日本って、みんなが集まって話すことが多いのは、やっぱり食事や料理のことですよね?

「あそこのアレは美味しかった!」とか、
「あの料理は、こうやって作るのが美味い!」とか…
食事をしながら、食べ物の話っていうの結構多くないですか?

これが、フィンランドじゃ、サウナの話なんですよね。

数人でサウナに入って、暖まりながら…

「あそこのサウナはどうだ…」とか、
「昔のサウナは、やっぱり…」とか、
「サウナは、あれが最高だよな〜」とか…

そう、サウナにもいろいろあるんですが…
昔は、火を焚いて煙を充満させて、煤で真っ黒になりながらっていう「煙サウナ」だったそうです。
それが少し進歩すると、今度は煙は充満させるけど、それほど真っ黒にならないっていう…
まぁ、煤でちょっとは汚れるけど、身体は充分に温まるという「煙サウナ」になって…
これは、今でも使われてます。
そして、それが最高のサウナだって言う人もいます。

それがやがて、石を熱くして水をかけて、湧き上がる蒸気で暖まる…になるんですけど…
その石を熱くするのにも、ストーブで薪を焚いて…というのもあれば、電気のヒーターで熱くするってのもある。

これがスウェーデンだと、電気ストーブで室内を熱くするというのが一般的なんですよ。
いわゆる「乾燥サウナ」っていうやつですね。

ところが、フィンランドじゃ、電気ヒーターを使うとしても、ヒーターの上にはちゃんと石を乗せて、熱くなった石に水をぶっかけるという、昔ながらの…でもやっぱり「本物」のサウナです。

その「乾燥サウナ」と「本物のサウナ」じゃ、やっぱり違いがありますね。

電気ヒーターを使って部屋を熱くすると、温度も90度くらいには上がるんですが、まぁ40分くらいはジッと座ってられます。
それと比べて、石を熱くして入るやり方だと、室内はそんなに暑い必要はありません。
せいぜい70度くらいで十分かな?

で…この熱くなった石に水をかけると、蒸気で室内の温度は瞬間的に90度くらいに、グワーっと急に熱くなるんですよね。
そうなると…せいぜい10分も入ってれば、暑くなって、すぐに外に出て身体を冷やしたくなる。

でも…この、「出たり入ったり」が良いんですよね…。
身体全体の血管がピリピリ収縮するの感じて…身体の中まで温まるって感じがするんです。
これが、サウナの醍醐味というか…
フィンランドのサウナが「本物」というのは、そういうところにもあるんです。

で、サウナには、道具も必要です。

石に水をぶっかける柄杓と、何か熱いものに触るための手袋、熱くなった身体をピシャピシャと叩く木の枝です。
まぁ、これはフィンランドならではの道具ですが、木の葉っぱは、白樺の木の葉です。
独特の香りがするんですよね…
そして、この香りが身体にもつくんですよね…。
また、この木の葉っぱは、夏とかは新鮮ですけど、冬になると枯れた枝の束を使います。
これは、フィンランドじゃ「マスト=Must=必須」です。
でも、スウェーデンじゃあるところにはあるけど、それほど一般的ではないですね。

まぁ…ストックホルムにあるのは、「ヒーターで暖める」だけの乾燥サウナが多いんですけど…
スウェーデンでは、北に行けば行くほど文化的にいろんなものがフィンランドと似てきますから、「焼き石+水かけ」サウナも多くなってきますし、またサウナ小屋というのも、あちこちで見かけるようになります。

こういうサウナ小屋って、壁の色が変わってるんで、見たらすぐわかります。

でも、最近のフィンランドには、こういうのもある。

氷で作っちゃうんですよね…サウナを…。
「溶けちゃうんじゃね?」って話ですけど…w
もっとも、これって、なんか観光客目当てみたいな…。

そういえばスウェーデンでも、キルナに近い町に出来た「氷のホテル」が特に日本からの観光客を集めるというので、スウェーデン国内でもあちこち出来るようになって…
最近じゃ、ストックホルムのホテルにも「氷のバー」なんていうのがありますからね…。

まぁ、

夏のスウェーデンは世界でも最高ですけど、冬も、ただ暗いだけじゃなく、「冬ならでは」のイメージで売るっていうか、屋外を楽しむというのは冬でも出来るって話です。

まぁ、冬は冬でオーロラがありますけど…
行ってみたいですよね…夏に氷のサウナ…

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