By:スウェーデン在住、大瀧昌之
今回お伝えする「スウェーデン情報」は、スウェーデンの街についてですが…
スウェーデンの街を紹介するには、やはり首都、ストックホルムから始めなければなりません。
ストックホルムは「北のベニス」とか「北のジュネーブ」とか言われますが、この街は実に14の島から成り立っているので、それこそ海と湖に囲まれた「水の都」です。
ストックホルムの語源は、ストック(丸太)とホルム(小島)という二つの言葉が合わさったのが由来で、「丸太の小島」という意味です。
周りを海と湖に囲まれているので、昔は島に丸太を積んで敵船からの攻撃を防いだとも言われてますが、船での交易が盛んだったので、島の周りに丸太の杭を打ち込んで船が接岸しやすいようにしたという説もあり、実際それらの杭の跡は今でも残っています。
バイキング時代には、ビルカという今でも北の方にある小さな集落が首都でしたが、12世紀頃にストックホルムが首都になりました。
よく「世界で最も美しい首都」と言われるそうですが、この海と湖に囲まれた街は、いろんな顔を持っています。
スカンジナビアでも最も発展している近代都市で、ノーベル賞授賞式の行われる街でもありますし、昔からスカンジナビアの中心となって発展してきた古い街として、歴史のある場所があちこちにあります。
ストックホルム市は「ストックホルム県」にありますが、言ってみれば東京都の中に23区あって、その両方を「東京」と言っているのと同じでしょう。
ストックホルム県全体としては人口約230万人ですが、ストックホルム市の人口は約96万人と言えばわかりやすいですかね…。
スウェーデン全体も「森と湖の国」と呼ばれているようにとにかく森と湖が多い国ですけど、ストックホルムはその代表的なもので、郊外に出るといろんな地域や住宅地があるんですが…
電車や車で移動すると案外気がつかないですけど、おそらく空から見ると、森と湖の間に道路があって、その中に住宅地が点々としてある…みたいな感じでしょう。
そんな水の都ですから、市民の憩いの場というのも水辺に多くあります。
そんな場所でリラックスしていると、やっぱり、ここはバイキングの血が今でも通っているんだと実感します。
ストックホルムもいろんな地域や場所があって、それぞれ歴史とか特徴があるんですが、僕の好きな場所にSödermalm(ソーデルマルム=南島)というのがあります。
昔はいわゆる労働者の街と俗に呼ばれていて、確かに1960年代まではそうだったんでしょうけど、70年以降は特に若い世代や芸術家なんかも住みだして、今ではすごく魅力的な街になりました。
この地域には商店街やレストランがいっぱい並んでますけど、何をするにしても、やっぱりここでフィーカ(コーヒーを楽しむこと)するのが一番ですね。
極め付けは、劇場でもありライブハウスでもある「モッセバッケ」で、ライブ音楽を聴きながらストックホルムの街を見下ろしてリラックスすることでしょうか…。
もう一つ、僕の好きな場所…。
1969年にスウェーデンに来て、最初に音楽をやってお金を稼ぎだしたのが、このガムラスタン(旧市街)という、13世紀に首都として栄えた街です。
ここは、今でも13世紀からの建物が残っていて、ストックホルムの最大の観光地でもあります。
旧市街全体が13世紀からの建物を保存していて、古い石畳が続き、昔は牢屋だったと言われる部屋も、今はライブハウスや喫茶店として利用されています。
僕も、昔ここがライブハウスだった時に、南アメリカ人なんかと一緒に演奏していたことがありました。
これ…何か見覚えありますか?
そう、宮崎駿監督のアニメ「魔女の宅急便」の街です。
ガムラスタン(旧市街)の中央にあるこの広場のすぐ側には、その「魔女の宅急便の街」のシンボル的な時計台がある教会(大聖堂)がありますが、この大聖堂は昔から王家の儀式などが催される、ストックホルで最も由緒のある教会です。
この広場はまた、16世紀スウェーデンとデンマークが戦争をやっていた頃、デンマーク王によってスウェーデンの貴族が何十人も処刑された場所としても知られています。
まぁ、血生臭い話はさて置いて…
とにかく、今でも13世紀の名残を楽しめる街ですが、ここは歴史探索、ウインドウショッピング、クラシック系やモダンな喫茶店でのフィーカ…、手軽なファーストフードから豪華レストランでの食事が楽しめる観光名所として、世界中からの観光客で賑わっているところです。
ストックホルムは、まだまだ見所があるし、郊外にもたくさん魅力的なところがあるので、またいろいろご紹介しますね!
楽しみにしていてください…!